15.12 お正月と経済成長

お正月と経済成長 2015.12

子供の頃、師走は一年で最もワクワクする月であった。ジングルベルが流れ、パン屋にケーキが並ぶ。福引きが始まり、景品の凧(たこ)をもって山に登る。

大晦日は人で溢れ、紅白が始まる頃に大掃除が始まる。年越しそばの出前が来て、子供たちはうどんを食べ、行く年来る年の鐘の音を聞きながら眠りにつく。翌日から商店街は長いお休み。おもちゃ屋さんだけが店を開いていた。それがお正月の原風景。

七十年代もそんな感じで、正月といえば酒と麻雀に耽(ふけ)っていた。様子が変わり始めたのは、八十年台に入ってから。三が日というのに「明日は仕事」という声が聞こえ始めた。それは、スーパーから始まり百貨店・コンビニへと広がって、年中無休・二十四時間営業という店まで現れた。客は便利さを求め、店は利益を求め続けた結果である。

でも、私たちは幸せになったのだろうか。元日の朝、家族そろって年神様をお迎えできたことを喜ぶことこそ幸せではなかったのか。

イスラム教はラマダンの一ヶ月、昼間は食事をしないという教えを守り続けている。新しく現れた宗教であるイスラム教が厳しい戒律を守り続けていることは興味深い。一方、日本は家族団欒(だんらん)を犠牲にして利益を追求しているにもかかわらず、経済は成長しなくなってしまった。八百万(やおろず)の神が「考え直せ」と語りかけているのだろう。

ここ三十年、我が家の大晦日はてっちりを囲む慣例になっている。床の間には餅花、テレビでは相変わらず紅白歌合戦。懐かしい歌をききながら、長生きしたなあと実感するこの頃である。

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